vol.1

想像力とインスピレーションから生まれるカクテル

nokishita711
2020.02.17

山と海の旨みの合わせ技で相乗効果を

異例のコラボから生まれる新感覚のお酒

小倉屋山本の商品を、新しい視点で切り取り数回にわたり紹介していくこの企画。昆布や佃煮などの商品を使った限定特別メニューを、多ジャンルの飲食店に開発していきます。期間限定で、お店で限定メニューもいただけるのでぜひお楽しみに。

第1回のコラボ先は、京都にあるスタンドバー「nokishita711」。世界のベストバーを紹介するウェブ サイト「the world’s 50 best bars 」で、2019年 Discovery カテゴリーに選出されたお店です。バーテンダー・セキネトモイキ氏から生み出されるカクテルは、まるで料理のよう。直火で焼いたりスモークするなど多様なアレンジを施した旬の素材とジンを組み合わせて生み出されるカクテルは、味、ネーミングやビジュアルを含めて、その一つひとつが独自の個性を放っています。

今回は、唐辛子入りお茶漬け昆布とちりめん山椒を活かしたオリジナルカクテル2品を、セキネ氏が考案。伝統的な和食材は、一体どんな風に生まれ変わるのでしょうか?

辛味昆布のジントニックとちりめん山椒のジンバック

昆布のまろやかな旨味を感じていると、酸っぱさの合間にピリッとした唐辛子の辛味がやってくる。『唐辛子入り お茶漬け昆布』を漬け込んだジンにヒラメの出汁・キュウリ・すだちの発酵液を合わせた、辛味昆布のジントニック「夜露蜘蛛(よろこぶ)」だ。アペリティフとしてカクテルの上に乗った、うどの梅肉和え紫蘇巻きと合わせていただくと、ハイブリッドな”ヒラメの出汁茶漬け”が完成してしまう。

もう一品は、隠れ人気商品『ちりめん山椒』を使用したちりめん山椒のジンバック「傘も刺さずに」。山椒の香りとフレッシュな酸っぱさの中に、ちりめんの旨味が優しい。炙り万願寺唐辛子をアクセントに、酢味噌、レモン、ジンジャービアが重なり合う贅沢。時間差で舌の上にやってくる、味覚のゆらぎを楽しんでほしい。

山と海の旨味の合わせ技で、相乗効果を

セキネ氏:

「今回こだわったのは、商品の旨味をどうカクテルに活かすかという点。旨味と辛味の引き立て方は意識しました。ヒラメや万願寺唐辛子をグリルしてメラニンを発生させることで、魚独特の生臭さを取り除き、さらにスモーキーな味わいのメスカル(メキシコ特産蒸留酒)やレモンの酸味でさっぱりとした清涼感を加えています。また、商品の味の一部である塩味をきちんと残すことにも留意しました。ドリンクを作る際には、塩味がネックになりがちなので、そこは至難しましたね。

 そして、一番のポイントは複数の旨味の相乗効果。抹茶にも旨味成分があるんですよ。”山のものと海のものが合わさると美味しくなる”と、昔から言われていますが、まさにその通り。昆布のグルタミン酸と魚のイノシン酸が合わさることによって旨味をより引き立たせています。」

伝統的な食文化が ピックアップされる時期はもうそこまで来ている

セキネ氏:

「昨今、見過ごされがちになっていた自分たちの身の回りにあるローカルな食材を、新しい手法で新発見しようという流れが先鋭的なレストランで起こっています。例えば、デンマークにある「ノーマ」というレストランがそう。珍しい食材をいかに扱うかという周期が一周して、今は、自国や身の回りの食材に目が向かれ始めています。そしてこの流れは、一般家庭にも必ずやってくると思います。

 そこで僕たち食のプロフェッショナルにできることは、伝統的な食材の違う面を見せてあげること。こんな楽しみ方もあるんだよと、若い人たちに魅力を軽やかに伝えることで、和の食材の美味しさを再認識させてあげたいです。とはいえ難しいことではなく、「まあ、美味しいんだから、ちょっと買って食べてみればいいじゃない」とぽんと背中を押してあげる感じ。まずご飯に佃煮を乗せて食べてみればいいじゃんと。そんなきっかけを発信していきたいです。」

有機的にデザインされたスタンドバー

「nokishita711」に踏み込むと、多言語が飛び交う空間に自分が今どこにいるのか、一瞬戸惑う。カウンターの上に横たわる木には、いろんな言語で書かれた短冊が多数ぶら下がっている。あるお客さんが書いたメッセージが自然と増えているんだそう。「最近のテーマは、デザインをしないこと。自分がつくったベースに、お客さんが手を加えていって、最初とは全く意図しないものができていくことが面白い」とバーテンダーのセキネ氏は話す。

それとは真逆に、カクテルは100パーセント隙なく作り込まれたものを提供する。季節の食材や日常の風景から、受けたインスピレーションを、味を組み合わせながらひとつの作品に仕上げる。グラスには陶芸家の陶器を使い、一つひとつに表情を持たせていく。

そんな店のメニューには価格がない。お客が自分自身で金額を決めるスタイルなのだ。「クールとかクレイジーとか色々言われますが、わからないことや今まで体験 したことのないことが経験できるということ自体が、うちの楽しみだと思うから」。この空間には、もはや境界線はない。

INFORMATION

店名:nokishita711

住所:〒600-8019 京都府京都市下京区船頭町 235

電話番号:075-741-6564

営業時間:17:00〜25:00

定休日:不定休

URL:https://www.nokishita.net/

今回使用した小倉屋山本の商品

『唐辛子入り お茶漬け昆布』

特徴はその柔らかさと辛み。昆布を調味料(醤油、さとう、水飴)と合わせて煮炊きし、加熱の最後のほうで唐辛子やごまを加え、風味の鮮度を保っている。噛んだ瞬間にぷちぷちとした食感は、ごまと紫蘇の実で演出。辛さの中に、昆布の甘みを感じられるバランスのよさが癖になる。

『ちりめん山椒』

こだわっているのは、口当たりの良さ。乾燥する際にもちりめんが乾きすぎないように湿り具合を調整する。通常より小さいサイズのちりめんを使い、年齢問わず誰でも食べやすいようにと心を砕いている。炊く際には、昆布エキスの旨味も加わり、白じょうゆを使うことで、ちりめん本来の色を出している。

和歌山産の山椒も、口当たりを意識して手作業で形を整える。噛んだ瞬間の清々しい爽やかな風味が、ちりめんのまろやかな旨味と相性抜群だ。